「偽善者……?」


ショックを受けた素振りをすれば、絶対香澄がキレる。


「アンタ最低!助けてくれた彩羽に向かって何てこと言うわけ!?」


ほらね?


そして香澄がキレたら、香澄に絶対服従を誓ってる女子たちは騒ぎ立てる。


「サイテー」


「見損なった」


って風にね?


そして私は私で涙を浮かべる。


涙くらいチョロいもんだ。


「私…庇っただけなのに……。何で…?」


私は適当に後退りしたように見せかけて、瀬山龍騎の親友のナントカくんに近づく。


そして、よろけたフリをしてナントカくんにぶつかる。


「あ…ごめ……」


泣いてる女に弱いことはわかってる。