「最近ちゃんと寝れてんの?」


「まぁまぁかな。たまに夢に見るけどね……」


以前に比べたら全然マシになった。


インターホンの音にビビることもなくなったし、ソファに男と隣同士で座ることも大丈夫になった。


あとは自分の家に戻って前みたいに生活できれば、すべて元通りになる。


だけどその一歩が踏み出せない。


いつまでも家に居させてくれる渚に甘えてるから。


「そ」


相変わらず素っ気なくて無愛想だけど、優しさを持ってることを私は知ってる。


「…話戻っちゃうけど、慧や晋のことは見捨てるの?渚だけ黒龍やめて、二人のことは見捨てるの?」


幹部にだって友情はあるはずだ。


「見捨てるわけじゃねーけど。アイツらがやりたいことをやりゃいーんだよ」


でも、もし明日の襲撃が警察にバレたら??


捕まるのは慧と晋だ。


渚は捕まらない。