「ありがと……」


……渚にお礼する日が来るなんて、出逢ったときは思ってもなかった。


渚がこんなに優しいとも知らなかった。


「…また悪夢見たら…って思うと寝たくない」


夢だって分かってても、大丈夫だって分かってても、龍騎の夢を見ることが怖い。


黒蝶として暴れまわってても、やっぱり私は女だ。


男には敵わない。


「………マジで龍騎のヤツ許せねぇ…」


ボソッと渚が呟いた。


「………眠い」


眠いんだけど、寝れない。


「…夢のことはどうしてやることもできないけど、絶対大丈夫だから。俺がここにいるから絶対大丈夫。もし怖かったら俺の名前呼べ。どうにかしてやるから」


ポンポンっと頭を撫でてくれた。


「……目閉じたくない」


目を閉じると龍騎の顔が浮かぶ。


龍騎に暴行加えられてる時のことや、襲われてる時のこと、恐怖に耐えてるときのことも。