「どうする?家帰る?」


病院の帰り道、渚が聞いた。


「……帰りたくない」


あの家には帰りたくない。


あそこにいると、恐怖が忘れないし、龍騎がいた痕跡が残ってるから。


「あ、でもしょうがないよねー。帰るよ」


渚に迷惑かけれないし。


龍騎が家に来るわけじゃないんだから……。


「……俺ん家でいいなら来い」


いいの?


「迷惑じゃない?」


「別に」


優しいな、渚は。


最初はヤな奴だと思ってたけどさ。


「じゃあ渚ん家行く」


いつかは自分の家に帰らなきゃいけないけど……今はまだ…無理だ……。