明けて月曜の朝。

仮眠室の扉をミライと一緒に開けた。

「今日からまた、二人で一緒に行けるよ、ミライ」

「うん!」

嬉しそうに微笑むミライ。

(あ~、今となっては救いの神だなぁ)

にこやかな笑顔を見るだけで、萎えていた気力が少し戻ってくるよ。

「よ~し、行こう」

ミライの手を引いて一階へと下りる。

(…ん?)

裏口に、所長ともう一人、なにやらカメラを抱えた人が立ってる。

(あれは)

見るからにテレビ局の人だ。

何で?

「やあおはよう!」

所長がニコヤカに声を掛けてきた。

「おはようございます…」

ちょっと訝しげにあいさつしながら近寄る。

一体何を企んでるんですか?

と、所長がニッと微笑んできた。

「今日からこちらのディレクターさんに、君たちふたりにくっ付いて専属で密着取材してもらう事になったからさ」

ええっ!

「専属で密着取材ですか!?」

って何考えてるんですか所長!

「ウン」

って、何ニコニコ頷いてるんですか。

「どうせ色々と付いて回られるんだったら、どこか一社だけに絞り込んだ方が気が楽だろ?」

「え?」

そりゃまあ確かに、そうかもしれないですけど…。

「でも密着取材ってことは、一日中ず~っと付いて回るワケですよね?」

そんなの煩わしいですよ。

「ウン。でもカメラが有る方が、悪意を持って近づいて来るようなヤジ馬が一歩距離を置くからね。それも狙ってるんだ」

あ、なるほど…。

「今日だけは、ボクも一緒に大学まで行かせてもらうよ」

例に漏れず話は勝手に進んで、所長とテレビ局の人と一緒にワゴン車に乗って、大学へと向かう事になった。

はてさて、どうなるんだろ。