いよいよ記者会見が始まる。

控え室を出て局長、所長の後にミライ、そして僕。

意気揚々、前途洋々の気分。

足取りもしっかりと階段を下りて、局長たちに続いてホールに入る。

「おおーっ!」

ドレス姿のミライがホールへ入った途端に上がる驚きの声。

と同時に一斉にシャッターが切られ、バシャバシャバシャッと眩しいフラッシュを浴びながら、長テーブルを前にして並んで、全員でまず一礼。

頭を下げた瞬間の、けたたましいフラッシュの音ったらありゃしない。

(オオーッ、見た事あるよこんな会見シーン)

まさかそれを、目の前で体験する事になるとは。

(全世界注目の的か…)

座りながらも、なおも続くフラッシュ。

ズラリと並んだ記者たちの後ろから、何台ものテレビカメラがこっちを見ている。

(あのカメラが映すテレビの向こうで、数え切れない数の人たちが僕を見てるんだ)

さすがに緊張感で額に汗がにじむ。

(落ち着け、しっかりしろ)

雰囲気に負けてなるものか。

と、最後に入ってきた本田君が脇に置かれたマイクスタンドの前に立った。

「え~それでは只今より、ここ近未来研究所で開発致しましたヒューマノイドの合同発表記者会見を始めさせて頂きます」

パチンとホールの照明が落とされて、プロジェクターのスイッチが入る。

スクリーンに映し出されたのは構造図。

「まずは簡単に構造と機能からご説明申し上げます」

とマイク片手にポインターで指し示しながら説明していく本田君。

「…残念ながら、二号機は動作停止という事態に陥りました。その原因としましては…」

さすがは本田君、淡々と解説をこなしていく。

「…この結果我々は、一号機のシステムが現時点での完成形であると考えるに至りました。では改めてご紹介致しましょう。ここ近未来研究所で完成しました第一号機、ミライです!」

と、吹き抜けの渡り廊下から所員がライトをカッとミライに当てた。

同時にフラッシュが一斉にミライにバシャシャシャッと向けられる。

(スゴイ…)

あまりの瞬きに、ミライの横顔がストロボのように浮かび上がって見えてる。