「あっ、あの人!」

見知らぬ女子学生二人がこっちを指差して声を上げてる。

「え?」

と、携帯の写メを構えながら駆け寄って来るじゃないか!

(ウソだろっ?)

なぜだ。

気づいた周りの学生たちが次々にこっちを振り返ってくる。

(なんでみんなまで?)

こんなに騒がれたら、オチオチ学内も歩いていられないじゃないか。

「早く行こう!」

ミライの手を引っ張って逃げるように校舎に駆け込み、二階の教授の部屋へと階段を上って、廊下に出た。

「ワッ!」

教授室の前に、廊下を塞ぐほどの黒山の人だかりが出来てるっ!

(何だよこれっ)

一体何人いるのか見当もつかない。

ここまでバレてるっていうのか!

(マズイマズイマズイッ)

このまま行けば揉みくちゃにされるって!

なんとか逃れないと。

「…そうだ、実験室に行こう」

あの建物はセキュリティカードが無いと入れないんだ。

「急ごうミライ」

ミライの手を引っ張って、急いで実験室へと逃げ込む。

一体何がどうなってるんだ?

なんでイキナリこんな目に遭うんだよ!