「あのう、この部屋お茶も何にも出せないから、教授の部屋に行きませんかぁ?」

と、済まなそうに声を掛ける広海君。

「ううんいいのよ。普段どんなところで実験をしてるのか興味があって来ただけだから。それよりも、奥の部屋を見せて欲しいわ。どうかしら?」

クワンがガラス窓の奥の無音室を指差して、興味深げに目を輝かせてる。

「どうぞどうぞ」

僕が頷くよりも先に広海君が、ドアを開けて奥へと導いていた。

今日は手際がいいね。

クワンに続いてロイが何食わぬ顔で後について入って行く。

(おっ、)

ロイはこの部屋平気なのか。

ミライは入るのを渋るのにロイにはそんな様子がない。

それだけ電磁波対策がシッカリ出来てるって事か。

(進化してるんだな…)

ミライより進んでるのか~。

ちょっと悔しい気もするなぁ。

「ん、」

ミライがガラス越しに中を見ているのに気づいた。

手を胸の前で握り締めてる。

なんだか戸惑ってるみたいだ。

「気にする事はないよ、ミライ」

大した事じゃないんだからさ。

声を掛けてミライに歩み寄ると、ミライがスッと寄り添ってきた。

「うん」

落ち着いたように横に寄り添ってくる。

安心してくれたみたいだな。