机が島になって並んだ雑然とした控え室の空いた席に座って、運ばれてきたコーヒーカップを口へ運んだ。

香りは立つが、味が薄め。

(確かにインスタントだなぁ…)

カップをすすりながら皿に盛られたクッキーを頬張って、ふと顔を上げてビックリ。

向かい合う机に座った所長が、子猫型のロボットを両手で大事そうに抱え上げてる。

しかもノン気に猫なで声で話し掛けながら、しまいにはチューまでして喜んでいるじゃないか。

「な、何なんですか、それは」

所長たる人間が研究所の中で見せる姿とは思えませんけど。

さっきの鋭い目付きはドコにいったんですかっ。

「え?知らない?アイ・ロボット。初期型だけど。ねぇ~ミーちゃん」

「ハ~イ」

可愛らしい声で答えるミーちゃんを机の上に降ろして頭を撫でる所長。

いやいや話が食い違ってますって。

「そうじゃなくて、一体何をしてるんですか」

って、言ってる側から猫じゃらしでじゃれ合ってるし。

「遊んであげてるんだよ。大事なスキンシップスキンシップ」

所長が振り回す猫じゃらしを、ミーちゃんがエイッ、ミャーッと声を上げて追い掛け回してる。

「…」

ひょっとしてこんな事ばかりしてるんですか?

さっきは買いかぶり過ぎたか?