(…とにかく、行けばわかるって事だな)

そうとなれば急がねば。

扉を開けて中に戻って、振り返った広海君に声を掛ける。

「広海君、急で悪いけどさ、所長がミライと一緒にすぐ来て欲しいって言ってるんだ。だから残りの実験よろしく頼むよ」

言った途端、広海君が目を丸くした。

そりゃそうだ。

「ええっ、20人分の実験を私一人でぇっ!先生ホンキ?」

突っ掛かってくる広海君。

う~ん、彼女に言葉で何を言ってもムリだし、

頼めるのは君しかいないんだよ、とじっと見つめ返すしかない。

「…んもぅ~」

驚きの表情があっという間に落胆の表情に変わる広海君。

ふて腐れたままパソコンに向き直ってしまった。

(済まないよ、広海君)

渋々とは言え引き受けてくれた事がありがたい。

「ミライ、そういう訳だから、一緒に所長の所へ行こう」

横にいたミライに声を掛けた。

「うん」

小さく頷いて返してくる。

ミライも広海君には気をつかうんだな。