イライラは増幅してもっと睨む。
その時、この顔に見覚えがあることに気付く。
この人、確か……。


「2年の、藤川悠斗先輩?」


そう呟くと、彼の顔から笑顔が消えた。
色の無い、無機質な瞳。
……これは、ビンゴ?


「俺の事知ってんの?」


「藤川悠斗がカッコイイ。」


「え?」


「そう、噂で聞いていたので。
 先輩の事なんですね、初めて知りました。」


「俺の事知らなかったの?」


「まあ、そうですね。」


年上と分かってから敬語にシフトチェンジする。


特に先輩に興味とかないから。
名前ぐらいしか知らなかったけど。
この人が噂の藤川悠斗。
確かにカッコイイかも。


茶髪の髪に耳にはピアス。
切れ長の目に筋の通った鼻、薄い唇。
端正な顔つきに程よい筋肉質の身体。
制服越しからでも分かる。