目の前にある大きな扉を開ければもう、家の中だ。


覚悟を決めた。



「…よしっ」



そして、気合を入れてドアノブに手をかけた時だった。



ザァッと急に吹き荒れる風の音。

慌ててスカートを抑える。


そして、顔を上げるとーーー



「…っ!?」



いつの間にか扉が開いていて、目の前には背の高い綺麗な顔をした男の人が立っていた。





…綺麗





綺麗なんだけど、どこか人間味を帯びてないような…。

目に光が宿っていないような…。





「…おい」



マジマジと見すぎていたのか、男の人が声をかけてきた。


慌てて頭を下げる。



「あっ、あのっ…、バイトの面接に来ました、東 弥生です!」