ギィ…



錆びた鉄が擦れるような、重く鈍い音が響く。


ドアまで続く石畳の上を一歩一歩、恐る恐る踏み歩くと、急に開けたままだった後ろの門が静かに閉じた。





…え。

風もないのに……





もし、風が吹いたとしても、あんなに重たい鉄の門が自然に閉まるわけがない。


私は無性に帰りたくなった。


だってここ、普通じゃない。


敷地に足を踏み入れた瞬間から感じた異様な空気。

説明するのが難しいような、異次元に来てしまったかのようなーーーー



私はギュッと拳を握り、大丈夫、と心の中で何回も唱えた。





だって、あんな求人サイトにバイトを募集しちゃうくらいなんだから!

しかも、誰か引っ越してきたって事は、ちゃんと人が住める家って事なんだから…!!