「弥生、またバイト辞めたの?」


「…うん。なんか厳しくてついていけなくてさ」



昼下がりの教室。
私の席の所へ親友の明美が訪ねてきた。



「時給高かったのに、勿体な〜」



そう、私はつい昨日、かなりの高時給のバイト先を辞めてきたばかりなのだ。

お給料はいいけど、やっぱりそれに張り合うくらいの仕事の厳しさ…

中々あそこで続けられる人はいないと思う。



「あ!そーいえばさ、あのおっきなお屋敷!新しい人が引っ越してきたらしいよ?」


「…え?」


「ほら!あの帰り道にある、ちょっと薄気味悪いさ…」


「あぁ〜」



そう言われて思い出した。

私たちの家への帰り道に、とても大きな、でも何となく人を寄せ付けないようなオーラを放っている、言っていいのか分からないけど、薄気味悪いお屋敷があるのだ。