咲いた徒花

知らないわ、そんな人。
見たこともない。

それをキッパリと言うと、その女は、少し悲しげな眼差しで此方を見つめてきた。

何なの。
あたくしを、知っているの!?

『貴女が、アテクシを、覚えているわけが、ありませんね。少し哀しゅう御座いますが、仕方が無いことですわ。葵様。』

その女の声は、誰かにとても似ていた。
でも、それが、誰なのか、思い出せない。

すると、その女は、口をパクパクと動かし始めた。