咲いた徒花

「青丹。あたくしは決して、尚侍なんてなれる身分ではないわ。お義母様は尚侍様だけど。でもね、バカにはしないで。あたくしだって、それなりの苦労も覚悟もしておる。」

「覚悟?何よ。覚悟なんて、しなくったっていいでしょ?」

ツンとなって、つい、きつい口調で言ってしまった。

「あたくし、名を捨てる。」

「名?六条の名を、捨てるの?」

ええ、と六条は頷いて、そして悲しそうな眼差しで此方を見ている。

「貴女の身代わりなのに、名なんて大層なもの、いらない………………」

「女房のときは、何と、呼ぶの?」