咲いた徒花

「別に、良いではないか?今は、誰も見てはおらんぞ。」

そう言われても。
顔を見たら、きっと、逃げ出すわよ、皆そうだもの。

………顔を見られたくないのは、そういう世間の暗黙の了解もあるけれど。

先程まであたくしを照らしていた月光が隠れ、どうしたことかと思っていた。

え?

性懲りもないわね。
ガツンと扇で殴ってやりたいわ。
-まあ、身分が低いから、出来ないけれど。

あの甥御様、あたくしの被衣に手を伸ばしてきた。