「青丹様、お支度、整いまして御座います。」

あたくしは、ぼんやりとしていた青丹に、朝が来たことを告げた。

「ねぇ、六条。」

あたくしは桔梗、ではなく、元住んでいた邸のあった六条を名としている。

「如何しましたか?」

「私が此処に来て、どれくらい、経った?」

「はぁ…………ひと月くらいは。」

「そう………そんなに。」

青丹は、悲観的に、こう言った。

何が不満なのかしら。
こんなに身分の高い家に、孫娘として預かってもらえるのに。