「桔梗、桔梗、参れ。」

全く、いつものことだけれど、扱いが雑だわね。

「数日後のことだが、お前はこの邸を出て、女房勤めすることとなる。」

女房?
何故、あたくしが?

「青丹を、覚えているか?」

青丹。
あぁ、この間、祖父君に養女にされた、右大将家のお姫様ね。

「はい、覚えておりましてよ、その、青丹様が、いかがなさいましたか。」

「突然のことではあるかもしれないが、尚侍として出仕することになったのだ。」