よ、よかったかしら。
これほどまでにあいつに感謝したことがない。



「それなら、異論はないかしら。ルイの師のところへは近いのかしら?」


記憶が正しければ、たしかあいつは西の森を棲みかにしていたはずかしら…。


そして、山の中だけあって全然近くないはず。



「いや、全く」



やっぱりかしら。なんか秘策でもあるのかしら?



まさか、歩き…?



「言っとくが歩きはしないぞ。あんな山のなかもう二度と歩きたくない」



本当に歩いたことあったのね…。


言ったときのルイの疲労に満ちた顔が物語っていた。


相当苦労したらしい。



「じゃあどうやっていくのかしら?」



「転移魔法」



「転移魔法…まあ、当たり前の答えかしら…転移魔法ならわたしだって使えるかしら」




そう言いつつ内心では驚いていた。



魔法は衰退したと思っていたが、転移魔法くらいは残っていたらしい。


そういえば忘れていたけど転移魔法についてはルイは私から逃げるときによく使っていたかしら……。