【長完】Keeper.l

顔を真っ赤に染めたその子は、恥ずかしかった様で、

「ありがとうございました!!」

と叫びながら戻って行った。

「お前、すげぇな。」

私の少し前を歩いていた金髪の相澤が言う。

てか、こいつって女嫌いとか最初の自己紹介で言ってたけど普通に話してるし、どうなんだろ?

いや、女嫌いていうか、人間不信?な気がする。信じられるやつと、信じられないやつの線引きの境は……。まぁ、いいか。

『別に、そこに居ただけだから。偶然だよ。そんなに褒められる事じゃないし。』

謙遜しているわけじゃない。だって、隣にいたから。

これがもしも、もう少し後ろとかで私の手の届く範囲にいなかったら完全に見捨ててた。

冷たい?冷淡?上等だ。だってあいつら、香水がきついのなんの。

スンスン、と自分のブラウスの匂いを嗅げばそこまできつくはないが結構匂いが着いていた。

「俺が言ってるのはそこじゃねぇ。」

『え?』

「最後に言った、あまり危ねぇことはすんなそれは、千歩のことにかかってんだろ。」

『………………よく分かったわね。』

そう。最後の危ないことしないでね、は自分の身を大切にではなく、千歩含め神龍に危害を加えるな、の意だ。

「伊達に副総長やってねぇよ。ありがとな、危険阻止促してくれて。」

仲間のためなら、誰に対しても謝罪とか感謝とかできるのだろう。仲間思い、か。

あんたの弟は、素直で可愛いね。あんたは、やたらと色気振りまいてるのに。

『別に。でも、あの子はやらなくなってもあの子達と一緒にいた子が何するかわからない。

問題が大きくなる前に、対処した方がいいわね。』

「ああ。」

『教室では永富と私が。私は女子だからトイレとかにも付き添えるし。

お、千歩さんが1人になることはないと思うけど。気をつけて見張ってるわね。』