傷つきたくない。


なら。


『「たとえ、他の奴が必要としてなくても。

自分を認めてくれる人がいるなら、その人のために生きればいいんじゃねぇの?

たとえ最初は信じられなかったとしても。

いつか、心を開いたその時には、思いっきり信じてやりゃあいいと思うぜ。」』



「俺にはお前が必要だよ、里香」と【あの人】に言われてああ、この人のために生きようと思った。

たとえどれだけ怖い思いをしても、私のことを信じてくれるこの人を手放さないように。がっかりさせないように、認めてもらえるように、強くなろうと思った。


『衝撃的だった。信じて裏切られるくらいなら、最初から信じなければいい。自分を大切にしてくれる人だけを見極めた後に信じればいいって。

今までのやり方と逆だったから驚いた。それと同時にすっきりしたの。ああ、この人を無理やり信じなくてもいいんだって。私はこれでだいぶ心が軽くなった。』


「そうか。中々良いことを言うやつだな。俺、その考え方好きだ。俺のことを認めてくれる仲間がいる。神龍っていう居場所がある。きっと龍もそう俺に思っていたんだと思う。

そっか、そうやって増やしていけばいいのか。なぁ、そしたらさ消えるかな。怖いんだ。」

『何が?』