「聞いてたの！？違うの、輝くん！！」


黒髪のボブを揺らしながら叫んだ清楚の仮面を被ったビッチ女と、


「大丈夫だよ、兄貴。そいつ、彼氏なんていねぇから。うるさくはしないでね。」


全然笑っていないであろう笑顔でたんたんと告げる俺の声は同時だった。



今のセリフで何かを悟ったであろう兄貴は見たことも無いような真剣な顔つきをしていた。いや、真剣と言うかかなり怒っている。


悟ったのだろう。俺とあいつの言葉で。

結局は、兄貴が女の首根っこをつかんで階段を引きずりながら外に出た。


その外で何があったかは分からない。ただ彼女は学校に来なくなった。


メールで
[あれは違うの]
[誤解なの]

というような言葉が続けられる。

それも無視していたら終いには

[あんたなんか好きなわけないじゃない！]
[全部藍さんに近づく為だったのに！]
[あんたのせいで全てぐちゃぐちゃよ！！]

と本性を表し始めたのをみて、ただ一言


[醜いね]



とだけ返してブロックした。