「そっか……、そっか。未練が晴れたなら良かった……。次は幸せになって欲しいね……。」

千歩の頭をそっと近くにいた十勝が撫でる。



風が通り抜けて行った。


「戻ろう、暗くなってからじゃ山をおりるのは危ないよ〜。」


永富の言葉通りだ。だいぶ上まで登ってきてしまった。もう夕方だ。みんな居なかったら乱華さんが心配するだろう。だってあの人は心配症だから。




梅雨の終わりに、私たちはとても不思議な体験をしたのだった。