受付につく頃にはもう皆がそこで私たちを待っていた。受付のところにいる人は後ろを向いていて顔がよく見えない。
髪の毛は栗色で、その後ろ姿に見覚えがあるような気がして少し胸がはねた。
『ここ……』
少し小さな声で呟けば、隣にいた十勝には聞こえたのだろう。
「今日、使わせてもらう施設はここだ」
と伝えてきた。いや、さすがにここまで来て「違うところ」とか言われても困るから。
なぁ、金髪。実は、少しだけ。ほんの少しだけだと言ったら嘘になってしまうかもしれないけど心当たりがあったんだ。
そこで、栗色の髪の人が私たちの方を振り返る。
「はい、これ。あなた達の分のお箸とか、受け皿ね。
えっと……、」
「ありがとうございます。藍色の髪の毛のが雪、そして俺が律です。」
自己紹介早いな。オカンか。
「そうそう……!!そうだったわね!輝のお友達!!毎年来てくれてるのにごめんねぇー、名前覚えるの苦手なのよー。来年までには覚えておくからねー!」
眉尻を下げながら、心地よい声で話す女の人がふ、と私に視線を向ける。
「龍喜くん、その子は新しいお友達?
私は、乱華|《らんか》。輝と、あともう1人輝の上に息子がいる2児の母です。ここのオーナーなの。よろしくね。」
にこり、と笑ってくれるから微笑み返す。


