『千歩……、どうしたの?お腹痛くなった?』

「ううん……違うの。違うんだよ、里香ちゃん。嬉しくて……」

そう言って顔を上げた千歩は泣いていた。ただただ静かにポロポロと涙を流していた。いつも馬鹿みたいにうるさいと言うのに昼間の喧騒を感じさせないくらい静かに泣いていた。

「そっか、私、強かったんだね。」

『強いよ。充分。』

「そっか……、そっか、

ねぇ、里香ちゃん。」

『何?』

「私ね、もっと練習する。もっと頑張ってみんなを守れるようになる。」

『うん、一緒に練習しよう。』

「里香ちゃんはもう十分強いのに?」

純粋な問いかけに、固まる。千歩の不思議そうにこちらを覗き込むような目に吸い込まれるように答えていた。

『諸刃の剣に、なっちゃったの。』

「……え?」

『力のコントロールが出来なくてね。だから私は弱いし、千歩に偉そうに言える資格はない。

そんな弱い私から見て千歩はちゃんと立ち回って考えた。強かったよ、千歩は。』

「そっか。里香ちゃん、一緒に練習しよう。」

『そうだね。』