「私、馬鹿だから。あまりにも長く話すと自分でも忘れちゃうから簡単に話すね!

それに明日も早いから!!」

作ったような笑顔でこちらを見るお姫様の頭に自分の手を乗せる。


『無理して笑わなくていいよ。泣きたいなら泣けばいいし、

表情を作りたくないなら 作らなくていいよ。ここには2人しかいないから。

話すのだってゆっくりでいい。千歩が話そうとするなら、私はいつまででも、千歩の話を聞くから。』


そう言えばお姫様は下を向いて、

「ありがとう」

と呟いた。

それから顔を上げた時には、怖いくらいの真顔。無表情だった。

危害はないはずなのに、いつもニコニコとした表情しか知らないせいか背筋がゾクリとした。

人って表情1つでここまで雰囲気が変わるのか。





………………面白いな。




少し黙った様子からして、どう話始めようかまとめているのだろう。

そんな様子を片手に再び新しい缶チューハイを取り出す。甘くないやつ。甘いヤツって飲んだ後記憶飛ぶんだけど どうやら物凄い絡み酒を発揮しているらしい。

お姫様が今から話すって言うのに絡んだらやばいからね、ちゃんと確認しないとなんて思いながらも確認せずにプシュリとプルトップをあける。

お、これはちょっと辛いやつだ。

ああ、未成年はお酒なんて飲んじゃダメだからね?