「…チッ、胸糞ワリィな」


佐々本小春を監視し始めてから、今日で4日経つが、あまりにひどい嫌がらせに俺は腹が立っていた。



ジジイ達に提供する前に映像を編集するのも俺の仕事なのだが、佐々本小春の映像は全くと言っていいほど集まっていなかった。


ひどい嫌がらせを受けているところか、家でひとり涙を流しているところばかりで、ジジイたちに喜ばれるシーンは皆無だ。



需要がある映像というのは、もちろん着替えや入浴シーンなわけだが、友人のいない佐々本小春のスマホは、家に帰るといつも机の上に放置されたままだったため、それらがカメラに映り込むことはまずなかった。



「おい蓮。
上玉の映像まだなのか」

「全然だな」

「早くしろ。VIP達がお待ちかねだ」

「当分集まりそうにないから上にもそう伝えてくれよ」

「おまえ調子乗ってんじゃねぇぞ?
VIP達あってのお前なんだよ。
誰のおかげでここにいられると思ってんだ」



「…チッ」


こっちだっていたくてこんなとこにいるわけじゃねえんだよ。

施設にいたまだ4歳の俺を勝手に連れてきたのはお前らだろ?



高田が部屋から出ていくのを確認して、俺はまたパソコンに向き合った。

そしてまた呟く。


「あー、胸糞ワリィ」