【短編】あなたとの距離、近くて遠い



「…花野さん、足はどうですか」

 凛とした目元が印象的で、短い髪はツヤツヤでとても綺麗な女の先生だ。

絶対、モテるよな。

 心の中で木本先生のことを考えつつ、私は木本先生の返事に答えた。

「はい。前よりはよくなってきています」

「そうですか。うーん。この調子だと来週の水曜日に退院できますね。そうします?」

 木本先生は私の足をじっくり見て、私に退院話をし始めた。

 そうだよね、入院して退院する日がくるんだよね。

最初は、自分の自己管理のなさに悩んでいたけど…今は…。

「…花野さん、どうしました?」

 ぼぅーとしていた私に気づき、木本先生は私に聞いてきた。

「…いや、なんでもないです」

「…そうですか。じゃあ、退院日はご家族の方と話してから、決めましょうか。あと、退院日が来週の水曜日で良ければ。看護師に言って下さい」