『なあ、ばあちゃん、前に教えてくれた縁結びの神社どこ行っちゃったんだ?』

お隣の家にお邪魔していた。
そもそも瑠璃垣神社を教えてくれたのはばあちゃんだし、何か分かるかもしれないと期待を込めて訪ねた。

『縁結びの神社?なんのこと?』
『え…』
『ん?』
『近所の公園に…あるって…』
『そんなところに神社があるのかい?長くここに住んでるけど知らなかったわ~』
『……そっか……』
『なんか、ごめんねぇ。力になれなくて』
『いや!全然!ありがと!』

もう瑠璃垣を探す手立てが何も思い付かない。
今までオレは夢を見ていたんだろうか?

いや、そんなはずはない。
現実にオレと出会った10人は付き合ってるし、オレが縁を結んできたのは間違っていないらしい。
ただその記憶のなかには瑠璃垣がいないだけで。

なんでだよ。
急すぎるだろ。
隣にいるのが当たり前になってたから、こんないきなり居なくなられてもどうすればいいかわかんないよ。
瑠璃垣の隣は居心地がよくて、本当に楽しかった。
みんなが幸せになるのも嬉しかったし、瑠璃垣がいたからみんなを幸せに出来た。

いなくなるなら言っといてくれよ。
オレだってもっとお前に言いたいことあったのに。


『オレの初恋が実らないのはお前のせいだからな、瑠璃垣……』