あれから数日が過ぎた。
これといってたいしたトピックスもない平凡な日常が続いていた。
オレの運命の初恋の種の相手はどこにいるんだよ。

教室からグラウンドを見下ろすと今日も運動部が部活動に励んでいる。
オレはゆるーい文化部だから出たり出なかったりとゆるーい毎日を過ごしていた。

ふと視界の端に陸上部に所属している大輔が走り込みをしている姿がうつりこむ。
そこにジャージ姿の伊藤さんがタオルと水を持って大輔に駆け寄る。
って、伊藤さんいつの間に陸上部に!?
二人は順調に愛を育んでいるようだった。

くそ、大輔のクセに…!
あまりの悔しさに大輔の机にウンコの落書きをしてから教室を後にする。

『ゆうちゃーん!今帰るの?』
『おー、胸くそ悪いしさっさと帰るー』
『野球部の練習見て帰ろーよ!』
『は?なんでだよ』
『もー!龍泉寺くんの初恋の種をなんとかしないとでしょー!』
『男の初恋の種なんかオレには関係ないじゃん』
『なんて薄情な子なの!?ゆうちゃん!』
『だってそうだろ、いい加減オレの初恋を実らせてくれよー』
『今のところゆうちゃんの周りの初恋の種は龍泉寺くんしかいませんー』
『く、なんでだ……!』
『もしかしたら龍泉寺くんがゆうちゃんの運命の初恋のお相手かもよ?』
『んな訳、あるかーー!!』
『蛇っちのパターンあるかもしれないじゃーん』
『オ・レ・は…ねぇーよ!!』
『あらら、ゆうちゃんどこいくのー?』
『野球部見に行くんだろ』
『おお!龍泉寺くんとの愛を育みに行くんだね!』
『ちっげーよ!』