瑠璃垣に連れてこられたのは西野と蛇沢さんのバイト先のあのカフェだった。

オレらの顔を見た西野には舌打ちされたが店内はいつも通りの光景が広がっていた。
奥のテーブルには堀越さんが座っている。

蛇沢さんが席に案内してくれようとしたが堀越さんが相席を申し出てくれた。
せっかくなので同席する。

店内はガラガラで今日も暇そうだった。

『で、堀越ちゃんどうなのよ』
『あ~!瑠璃ちゃんのおかげでうまくいったよ~』

二人の話が全く見えない。

『そうだ~!せっかくだから大発表だよ~』

カフェラテを2つテーブルの上に置いた蛇沢さんの腕に堀越さんが自分の腕を絡めた。

『私たち付き合うことになりました~!うふふ~』

パリン

『ええええええええええええええ!!!!!』
『おめでとー!』

カフェが急激に騒がしくなった。
ふわふわと笑っている堀越さんの隣で蛇沢さんの顔は真っ赤になっている。
厨房の方から食器の割れる音が聞こえたがすぐに西野が飛び出してきたので恐らく堀越さんの大発表が聞こえたのだろう。
唖然としているオレらを尻目に瑠璃垣は全力で祝福の舞いを踊っている。

『い、いや!待ってよ!説明を!プリーズ!ギブミーセツメイ!』