『おい!なんてことしてんだよ!』
『いやぁ、良かった良かった!』
『何がいいんだよ!』
『うっかり千葉ちゃんの押しに龍泉寺くんが負けちゃったらどうしようかと思ったよ』
『なにいってんだよ』
『だって!そんなことになったら4つの運命の初恋の種がダメになるところだったんだよ!』
『は!?』
『まだ分かんないのかい、ゆうちゃんは』
『むむ…わ、分かってるよ?それは…つまり…?』
『しょうがないなぁ。戸塚っちが千葉ちゃんのことが好きだったのはなんとなく分かるよね?』
『あ、ああ!もちろんだよ!』
『千葉ちゃんは龍泉寺くんのこと好きだと思い込んでたの』
『は…?』
『千葉ちゃんは生粋のミーハーなんだよねぇ』
『……?』
『わりと誰しもが好きな芸能人いるよね?その気持ちって憧れっていうか、現実感のない好きなんだよね。分かるかなぁ』
『うーん、なんとなく?』
『そりゃ中には芸能人とガチで付き合うとか思ってる人もいるだろうけど大抵はそういうんじゃないでしょ』
『まぁ、そりゃね』
『千葉ちゃんの龍泉寺くんへの想いもそれなんだよね。好きは好きなんだけどちょっと違う』
『ふーん?』
『それで自分の気持ちに鈍い千葉ちゃんに気づかせてあげたんだよ。本当に一緒に居たい人、本当に好きな人は誰なのかを』
『……!』
『そして、龍泉寺くんとその想い人の初恋の種も守られたというわけだ!めでたしめでたしだね!』
『お、おお!すげーな!』
『でしょー!ボクも仕事しないとねぇ』
『って!!!全然よくねーよ!』
『へ?』
『どーすんだよ!』
『なにが?』
『蛇沢さんだよ!蛇沢さんの初恋の種はどうなるんだよ!』
『あー!それは大丈夫だと思うよ』
『は?』
『そっちはそっちでうまくやってるよ』
『どういうことだよ』
『蛇っちもうまくいってたら運命の初恋の種を一気に4つ実らせたことになるねぇ!確かめに行ってみる?』

訳がわからないままオレは瑠璃垣について行くしかなかった。