『そこのバカップル!』
『ふがっ…』
『……』
『やぁ!』
『ケホッ、る、瑠璃垣さん!』
『……』
『お、おい!なにやってんだよ!』

瑠璃垣は目を離した隙に二人のテーブルに近づいていたようだ。

『仲良くケーキをこんなに食べちゃって、お似合いだなぁって思って声をかけずにはいられなかったよぉ』
『な、なにを言ってるんですか!?』

穏やかな戸塚くんがこんなに動揺しているのは初めて見たかもしれない。

『えー、美男美女でお似合いだよぉ。二人はいっつも一緒にいるんでしょ?趣味が合って一緒に居るのが楽でなんでも話せる相手が恋人だったら最高だよねぇ』
『………』
『い、いや、それは……』
『いやぁ、羨ましいよ、そんな相手に巡り会えるなんて運命だよね』
『うん…めい……?』

戸塚くんはもう何も言えず口をぱくぱくさせて言葉を探しているようだった。

『千葉ちゃんはテレビに出ている俳優さんは好き?』
『え…?…う…ん』
『じゃあ龍泉寺くんは好き?』
『おい!』
『…………』
『じゃあ戸塚っちは好き?』
『……!』

全員が固まった。

『よし!じゃあ帰ろっか、ゆうちゃん』
『…は?』
『うんうん、それじゃあ二人ともまたねー!』