『ほら!ゆうちゃん追いかけるよ!』
『え?』

ぼんやり眺めていたら瑠璃垣に引っ張られ足早に部室を後にする。
簡単に千葉さんに追い付いた。
体に力が入っていないような妙な歩き方でかなり心配になる。

『ふる方とフラれる方どっちが辛いんだろうなぁ』
『なんだよ、それ』
『なんとなぁく気になっただけだよぉ』
『……』

うまい答えが見つからず押し黙る。

ドサッ

一瞬千葉さんが倒れたのかと思ったが荷物を落としただけだった。

『うわぁぁぁあん』

泣きながらその場にうずくまる千葉さん。
ほとんど喋ったことないけど、こんな姿は見ていられなかった。
たぶん普段は明るくて元気な子なんだろうなぁ。
先輩ともあんなに直球でぶつかっていくぐらいだからきっと素直で正直な子なんじゃないかな。
ちょっと気は強そうだけど。

『ど、どうしよう?』
『どうしようねぇ』
『声とかかけた方がいいのかな?』
『ん~、こういうとき話聞いてほしいタイプとほっといてほしいタイプ、千葉ちゃんはどっちだろうねぇ』
『………』

究極の二択過ぎる。

『ぐすっ…ぐすっ…うっ』

でもこのままほっとけるわけねぇだろ!

『千葉さ…』
『すばるぅ…ひっく…ぐすん…うっ…うん……駅にいるのぉ……?……うぅ…ん…いまから…ひっく…いくぅ……うっ…』

千葉さんはいつの間にか電話をしていたようで、フラフラ立ち上がると歩き出した。
行き場を無くしたオレの手をソッと瑠璃垣が握ってくれた。

『って!離せよ!気持ちわりぃな!』
『いやん』