『大丈夫か?』
『あ、キャプテン!』

試合が終わったようで龍泉寺先輩がわざわざオレを心配して来てくれたみたいだ。
試合終了後すぐの汗と砂がそのままの状態で駆けつけてくれた先輩の優しさに涙がにじむ。
そんなことくらいでって?
だってアイツら誰もオレのこと見に来ないって……

『どうなんだ?大丈夫か?』
『あ、は、はい!大丈夫です!』
『泣いてるじゃないか』
『あ、いえ、これは心の痛みの方っすから!』
『そうか…ん?お前、前にも』
『あ、はは、はい』
『また顔に当たったのか』
『そ、そうっすね』
『ゆうちゃんのお顔はボール収集器なのかもねぇ』
『そんなわけあるか!』
『家はどの辺なんだ?送っていこう』
『あ、いえ!全然大丈夫っすから!』
『ですですー。ゆうちゃんはボクが責任をもって連れて帰りますからぁ』
『そうか?』
『そのかわり龍泉寺さんはぁ、ぬまぐっちーを送ってあげてくださいよぉ』

瑠璃垣の台詞にオレを含めた三人が三者三様のリアクションをした。

不思議そうな顔をする者、驚いた表情をする者、余計なことをと瑠璃垣を睨み付ける者

それぞれの想いが行き交う中、オレは瑠璃垣と二人で家路についた。