『あ、逢坂くん!離れて』
『へ?』

保健の先生が慌てて彼女に駆け寄る。
『堀越さんもう大丈夫よ。そっちで休みましょ』
『はぁ…はぁ…』

先生は彼女、堀越さんをベッドで休ませると戻ってきた。

『ごめんなさいね、すぐ戻るから大丈夫だと思ったんだけどまさかその隙に男子生徒が来てるとは』
『は、はぁ、すいません』
『あ、いいのよ、私が悪いの』
『そ、その、彼女…大丈夫なんですか?』
『あー…堀越さんね…うん、普段は大丈夫なんだけど』
『?』
『極度の男性恐怖症なのよ』
『男性恐怖症…?』
『色々あってね、でも親しい人が側にいればここまで取り乱すことはないんだけど』
『あ、すいません』
『いやいや、知らなかったんだから仕方がないわ』
『あれ…でも西野…』
『あら!知ってるの?彼女が唯一まともに話せる男の子なんじゃないかしら』
『へぇ』
『元々お家が近所で家族ぐるみで付き合いがあるんですって』
『なるほど…』
『あ!それで逢坂くん、顔をボールでぶつけたんだって』
『あ、はい』
『んー、もう鼻血も止まってるし、骨折とかもしてなさそうだし、もう教室に戻っても大丈夫じゃないかしら』
『あ、そうっすよね』
『龍泉寺くんももう大丈夫よ』
『っす』

強面の龍泉寺先輩も今まで見守っていてくれていた。
やっぱり見かけによらず優しいようだ。