協力出来ることになったのはいいが、具体的にどうすればいいんだろう。
こないだ読んだハウツー本を思い出す。
『自分を磨いて惚れさせちゃおう』という見出しが印象的だったのを覚えている。

『まずは…見た目からやってみる?』
『み、見た目…?』
『大輔って明るい子が好きなんだって』
『明るい……私と真逆だね…』
『イヤ!そ、ソンナコトナイヨ』
『いいの、分かってる…』
『う、うーん…』
『確かに内面を明るくするのは簡単じゃないけど、外見ならすぐに変えられるかもしれないね』

意外と伊藤さんは乗り気だった。
それほどまでに大輔のことが好きなんだろう。
くそ、大輔のクセにここまで人に好かれているなんて。

『明るい見た目ってどんな感じにすればいいのかなぁ』
『うーん…』
『私正直見た目に気を使ったことなくて』
『髪の毛、パーマとかしてみたらどうかなぁ?』
『パーマ…』

伊藤さんは真っ黒な長めの髪を後ろで一つに結んでいて制服を模範生のようにピッシリ着こなしていた。

校則緩めな学校なのに進学校のような居ずまいだ。

『あ、あとさ、制服をもうちょっと着崩してみた方がいいと思うよ!』
『着崩す……どうしたら…』
『クラスの元気なヤツらのかっこちょっとマネしてみたら?』
『そ、そっか…』
『オレももうちょっと大輔のことリサーチしてみるから!』
『あ、うん』
『頑張ろう!伊藤さん!』
『うん、ありがとう!』