近所の公園に来ていた。
二人でブランコに座る。

『ゆうちゃん、ボクに頼んだだろ』
『え?』
『神様、なにとぞ初恋が実りますように!』
『うわ!なんで知ってんだよ!』
『そりゃ知ってるよ』
『おま、聞いてたのかよ!』

いやそんなはずはない。
そもそも声には出していなかったのだから。
思いが強すぎて口に出していたのだろうか。
頭が混乱する。

『聞いてたよ、お願いされたら聞くのが仕事だからね』
『お、おい!なんなんだよお前は』
『なにって、さあ?』
『さあって』
『神様ってみんなはボクに呼び掛けてくるよ』
『は?』
『ゆうちゃんも言ってたし』
『いやいやいや、ないない』
『ま、ゆうちゃんの好きに思ってくれていいよ、とにかくボクはゆうちゃんの願いを叶えるお手伝いをするよ』
『なんだよそれ』
『さて、ボクは思うにね、まずは周囲を整理してみたらいいんじゃないかなぁ』
『整理って?』
『ゆうちゃんはまだ初恋を知らないでしょ』
『は?』
『伊藤さんのこと別に好きじゃないんでしょ』
『う…』
『ただ恋人っていうものには興味がある』
『ぐ…』
『そこでだ!周りのみんなの恋愛をさ、参考にするんだよ』
『な、なるほど!』
『みんなに話を聞いてみたら何か分かるかもよん』