何気ない、平日。


学校が終わって、放課後までくだらない話をして日が傾いてから帰る、いつもの風景。


一つの話題が終わって何をするでもなく駅のホームで電車を待っていた。


遠くの方で、遮断機が下りる警告音が響いている。


ざわざわと騒がしい群衆の声に耳を傾けながら、また始まった会話に適当な相槌をうって答えていたときの事。


急に昭彦が不自然に会話を止め、硬直した。


どうかしたのか、と隣を見ると昭彦は俺の背後、階段方面へと目を向けたまま、動かない。



「どうしたんだよ?」



言いながら階段を振り返る。特に変わった物などない。


ざわめく群集が増えていくだけで、何の変哲もない事を確かめると、俺は昭彦へ視線を戻した。


周りの声がやけに酷く煩い。