足首を掴むそれは、外の電灯からの光に青白く照らされて、気味の悪いくらい白く光り、柔らかな曲線を持っている人間の、手。
ただ、ありえない長さであり、この腕の長さで考えれば靴箱の下では隠れられない。
それなのに何かがはみ出すことなく暗い影を落としていた。
まるで、腕だけが生えてきたかのように。
脚を振って、手を蹴って踏んで、逃れると、俺は一目散に風呂場へと向かった。
閉められていた扉を開けるとそこにはあったはずの豚の縫いぐるみが、姿を消していた。
沈黙が訪れる。
米粒が、幾つか落ちて、道を作っていた。
目が、その先を追う。
闇にまぎれそうな、その白い米粒は、不揃いな感覚を開けて一定の間隔を置いて付けられている水と共に、落ちていた。
まるで水を帯びた何かが歩いたように。
『…モウ、イイカイ…』
どこかで声が聞こえた。
それは、数字を数えていた時に聞こえたあの粘ついた幼いような声。
近いような、遠いような、判断できないその小さな声は、酷く楽しそうに、愉快そうに、それでいて、一かけらの純粋さも持ち合わせていない声で、呟いた。
『痛イヨォ……絶対、見ツケテヤルカラ……楽シイナァ……』

