開いた扉からは、妙に居心地の悪い、というか、先ほどとは打って変わって違う雰囲気に、俺は口を噤んだまま辺りを見渡す。
何が違っているわけでもなく、ただ、何かが違う。
無遠慮な、視線。
昭彦が勝利を宣言したのは丁度玄関辺りだろうか。
俺はとりあえず倉庫から抜け出ると玄関へと向かった。
何もないはずの、何もあってはいけないはずの場所。
そこには冷たいタイルと、俺と昭彦の靴。傘立の中に傘が数本。
靴箱の扉は閉められており、その上も何てことない雑貨が幾つか置かれていて、鍵も、幾つか置かれている。
ふと、視線の中に違和感が写る。
タイルの上に、何かが、ある。
見て、タイルへと降りて、顔を近づけてそれを見る。
米粒が、幾つか水溜りの中に散らばっていた。
「――――ッ!?」
何故こんな所に米粒が。
そう思う声に反応したのか、空気が酷く冷えて首筋を撫でて行った。
何かが来る、そう想うのが早いか、靴箱の隙間から伸ばされた何かが俺の足首をつかむのが早いか、ほぼ同時に、俺は叫び声を上げそうになるのを必死に堪え、唇をかみ締めた。

