人形が、動いたのか…?
だったら、何処に縫いぐるみが居るかわからず探し回っているのだと説明が付く。
仏間は一階、玄関を入って直ぐの部屋だから二階には用事なんてもうないはずなのだ。
しかし、それとは裏腹に昭彦はバタバタと忙しなくあっちへこっちへ走り回り、二階や一階も行き来していた。
どうしたんだ、と問いかけそうになって口を噤む。
物音を立ててはいけないし、本当に昭彦なら塩水を口に含んでいる所為で話したくても話せないだろう。
「俺の勝ちだ俺の勝ちだ俺の勝ちだっ!!!」
走り回る音が不自然に止まって、少ししてからそんな怒鳴りつけるような、逃げる叫び声のような声が、聞こえた。
酷く興奮しているのか、三回勝利を叫んだ後も大きな声で叫び声を上げて、バタバタと暴れまわっている。
漸く昭彦が一抜けて、俺の隠れている倉庫の前を通り過ぎて、仏間へと向かっていった。
俺はそれに便乗しようと塩水を口に含むと塩水の入ったコップを片手にゆっくりとドアノブを捻って押した。

