一体どれ程経っただろう。2・3分かもしれないし、10分かもしれない。30分かもしれない。
時間間隔が取れなくなっている身体で測って、結構な時間が経った時、先ほどの音が昭彦なのかわからなくなっていた。
昭彦が動いて出た音だったとしたらもう風呂場に到達し、「勝ち」と声が聞こえているはず。
その声がいくら待っても聞こえてこないのだ。
痺れを切らしてもう終わりにしようかと、立ち上がりドアノブへ手を伸ばした、刹那。
バンッ!!!!!
「…ッ!!?」
ドア全体が振動し、触れる手前だったノブに指先が当たった。
俺はビクッと身体を震わせ、同時に心臓が大きく鼓動を打ち、塩水を口に含んでいたらきっと吐き出してしまっていただろう。
荒くなる呼吸音を何とか手で押さえ込み、何が起きたのかわからないまま、俺は倉庫の真ん中、暗闇の隙間に立って、呆然と見えないドアを見つめた。
なんだったんだ、今の…
声に出せない言葉を心の中で呟いて、俺はノブへと伸ばしていた手をダランと横へ下ろした。
バケツの上に置いている塩水を手探りで掴んでそれを握り締めながら、呆然と立ち尽くしていると、バタバタと廊下を走り回る音が聞こえた。
これはきっと昭彦だ。
昭彦が無事なのがわかってホッとするも、その尋常ではない慌てぶりに、俺はいささか疑問が湧く。
その足音は俺の頭上、つまりは階段を上がっていき昭彦の自室へと向かった。
風呂場は一階の廊下の突き当たりだというのに、だ。
何処へ行くというのだろうか。
俺は眉を寄せたまま、アレコレと考え始める。

