「最初の鬼は昭彦。最初の鬼は昭彦。最初の鬼は昭彦」
風呂場から、そんな声が聞こえてくる。
俺は一階の廊下の壁、階段の下に作られている物置のスペースに隠れていた。
真っ暗なそこは、異様な雰囲気を醸し出している。
電気をつけてはいけないというルールなので、真っ暗で、どこか埃臭い匂いが充満していた。
誰もいないはずなのに、闇が濃すぎて、その闇が、人のように思えて、密集した闇の人間の中に一人、息苦しそうに身体を小さくして、隠れているよう。
ギシ、と廊下を昭彦が踏む音が聞こえる。
風呂場に、サチと名付けられた豚の縫いぐるみを置いて、戻ってきたのだろう。
俺の頭上、階段を上がって行って、部屋のドアが閉まる音。
暫くの間をおいて、声。

