「うわああああああっ!!!」
手を離したノブを掴んでいた手はバン、と大きく扉を開けて、廊下に付けられている木製のテラスがいつものようにそこにあった。
俺はその場から離れて後退する際にテーブルに脚を引っ掛け、つんのめって、衣服が脱ぎ散らかされたままの床に倒れて転がった。
騒音。叫び声。
煩いほどの心臓の鼓動と、奥歯の重なる神経質な音。
異常な呼吸音に共鳴するように、バタバタと足音が聞こえる。
手のひらが痛い。
見ればテーブルに置いていた果物ナイフで、手のひらの肉がぱっくりと中を見せ付けていた。
つんのめって手を伸ばした瞬間、果物ナイフで切った俺はとっさに縫いぐるみを握りつぶして、テーブルを掴んで身体を衣服の上へと方向転換させて、テーブルの角で頭を打つことだけは避けた。
どれだけパニックになっても、受身だけは取る自分を褒める余裕など、ない。
「何だ今の声!」
洗面器を抱えたまま走ってきた昭彦はまるで急な災害に襲われて、何を持って出ればいいかわからずに手に持っていたものをとりあえず持って出た、といった風で、床で蹲っている俺を見下ろした。
俺はそんな昭彦の様子を指差して笑うほどの余裕もなく、ただ震えていた。

