ひとりかくれんぼ《都市伝説》



「…かくれんぼに、刃物なんて普通……」



独り言は、ドアの開く音によって途中で途切れた。


昭彦が風呂場から戻ってきたのだろうか、微かに開けられたそのドアの隙間は5cmほどで、その奥はぼやけたオレンジのたよりない電気がつけられている、薄暗い闇。


先ほど通ってきた時は困らない程度に等間隔で電気が足元を照らし、階段などが見えてはいたが、部屋からその廊下を隙間から見ると丁度電気のない境目で、暗くてよく見えない。



「なんだよ、昭彦」



その隙間が気味悪くて、俺はその隙間へ声を掛けた。


なるべく平常心を保っているように見せかけて、いつものように明るく取り繕ってみたが、声は少し震えている。


人の気配がしないのも、気のせいだろうか。