午前二時半。
薄暗い住宅地は、酷く冷え切っていてパーカーを着込んでいるというのにガタガタと身体が震える。
夜中に家を抜け出して辿り着いたのは、小学生や中学生の時には毎日のように入り浸っていた昭彦の家。
今日はなんだか気乗りがしない。
それもそうだ、『ひとりかくれんぼ』をしたいという昭彦に強引に約束をこじつけられてしまったのだから。
ひとりかくれんぼと言うのだから一人ですればいいのに…
そう思いながら、俺はチャイムを押した。
暫くして階段から人が降りてくる音と、そして直ぐにドアの開く音。
「稔…!お前なら見捨てずに来てくれると思ってたぜ」
そんなことを褒められても、嬉しくはない。
俺の気持ちとは間逆に、昭彦はすでに用意万端な様子で、催事場、もとい二階の昭彦の自室へと俺は連れ込まれた。
高校生の男子、特有の散らかり放題のその部屋にあるテーブルには赤い糸でぐるぐる巻きになったハム、もとい、豚のぬいぐるみ。
手のひらサイズのそのぬいぐるみは愛くるしい顔をこちらに向けている。
はっきり言って気持ち悪い。
普通に見たら可愛いが、力なくグッタリとしていて歪な形で膨らんでいる豚の腹はこれから起こる儀式を余計に不気味に思わせる。
辺りに散らばった、米粒と、ゴミ箱に突っ込まれている綿。

