強い力で椅子が引っ張られた。

と、同時にバランスが崩れそうな私のことも支えてくれた。



「…大丈夫?」


聞こえてきたのは落ち着いていて、透き通った綺麗な女の子の声。



「あっ!大丈夫です!!!ありがとうございますっ!!!」



綺麗な子……。
確か…


吉野 未紅(みく)…さん。

噂で聞いてたけどほんとに綺麗だなぁ。
未紅さんは私たちの学校で
可愛くて優しくて、とてもモテるの!!


私的には可愛いより綺麗だと思うんだけど。


私がそんなこと考えてる間、
未紅さんはじーっと私のことを見てくる。


え。

何かついてるのかな?!


「み、未紅さん??」


「……え?なんで名前…。」


「あっ!ごめんなさい、突然呼んで…。
あの、有名だから…未紅さんは。」


「あぁ、そう…なんだ?
それより、どうして机なんて運んでるの?愛柚ちゃん。」



え?なんで私の名前……

あ。そうか。私が炎龍の姫だからだ!
忘れてた!!


「えっとね、実は今日寝坊しちゃって…。
その罰なんです…。」


「寝坊…。ふふっ、可愛いね愛柚ちゃん。」



…あー、可愛いって意味分かった!
この人笑うとめっちゃ可愛くなるんだ!!

そっかそっか、
噂でもいっつもニコニコしてるって言ってたしね!!