春雷が落ちる頃には

静かだと思った。今までなら、車の走行音とか誰かの笑い声とか、うるさいと感じてよくイライラしていたのに、この街はなんだか静かになった。
なんでかは分かる。 なあ、お前らがいなくなったからだよ。
俺の声、聞こえてる…?



「大和ー?」
少し騒がしいお昼休みの時間。いつものように同じ部活のやつが声をかけてくれる。断るのも面倒くさいけど、正直一緒に食べるのも嫌だったりする。でも、こいつは俺を心配してめげずに声をかけてくれるから、有難くいつも一緒に食わせてもらってる。ただ、俺はほとんど話さないように、笑わないように、なってしまったけど。

俺がこんなんになったのは、約半年前から。
俺には双子の兄貴がいた。性格も得手不得手も真逆なのに、何故か気が合う兄だった。長くいれるようにって意味の「永久」って名前だったのに、さっさと死んでしまった。
そして、偶然にも同じ事故で、俺は恋人も失くした。美来っていう名前で、俺の初カノで、初恋で、何よりも大切にして、二人で幸せになろうと…。けど、駄目だった。あっけなく死んでしまった。
俺は大切な人を同時に二人失くした。
それからはもう、どう生きればいいのかもわからない。ただ、流れてく時間に沿って適当に、俺も進んでるだけ。
心なんて、全然前には進めていないけれど。


いつもの帰り道。だけど、今日は二人の月命日。途中で花屋によって青とピンクの花を買う。
永久と、美来のイメージカラーだ。
そういえば…いつだったか、そんな話をしたことがあった。美来は可愛らしい、いかにも女の子っていう感じの子で、本人も可愛いものが好きらしい。俺の美来のイメージっつったら、ピンクだった。それ以外はかんがえたこともなかった。逆に美来は悩んでいた。俺のイメージカラーはカラフルだと。でも、強いて言うならと最終的に言われたのが、透明だった。その後は、透明は色だ色じゃないの議論が始まって。家に帰ってから永遠にその話をしたら、確かにそうかもなあと肯定された。なんで透明なのか、その時聞きそびれた。
気になるな…。
話したいな。
会いたい。俺、二人に会いたいよ。今でも事故は嘘だったんじゃないかって、夢見てしまう時がある。
俺は、まだ現実を受け止めきれていない。
こんなんだと、永久に呆れられるな。美来にバカって言われるな。
もうどうせなら、出てきてそう言ってほしい。
俺は、お前らがいないと、ダメなんだよ。
二人の墓は、同じ墓地にある。だから二人に伝えたいんだ。ここからなら、同時に分かるだろ?
なあ、聞こえてる?
俺にはもう、お前らしか、いないんだよ…。